電子顕微鏡のページ

試料の作り方

注意事項

・全体
ここに示すのは当センター保有のFE-SEMで観察・分析するための試料作製方法の一例です。この通りやれば必ずうまくいくというものではありません。ここで紹介した方法で試料を作製・観察して、何らかのトラブルが発生した場合も当方は一切の責任を負いません。もしも、本サイトを参考にして試料を作られる場合は、当方までご連絡頂ければより詳細な手法をお教え致します。

・試料の取り扱い方
素手で試料・試料台・またこれらに触れるもの(例えばピンセットの先端)に触れてはいけません。手の油や汚れが試料表面に付着すると、それらは鏡筒内でガス化し、試料室を汚染します。試料・試料台を扱う際は細心の注意を払って下さい。電顕室には使い捨ての手袋を用意しておりますので、是非ご利用して下さい。

・試料の事前準備
試料は観察前に超音波洗浄機による洗浄、デシケーター内での乾燥(もしくはヒーター加熱による乾燥)をしておくことをお勧めします。不純物が残っていたり、乾燥がしっかり出来ていないと鏡筒内に挿入した際に微量のガスが発生し、観察に支障をきたす恐れがあります。

・試料のサイズ
当センターのFE-SEMはインレンズタイプの対物レンズを採用しているため、試料室が狭いです。具体的には、縦×横×高さが5mm×10mm×2mm(専用の試料台を用いれば高さは3mmでも観察可能)以下のサイズでないと試料室に挿入することができません。当センターには試料を成形するための設備もありますが、試料によっては加工することができません。上記のサイズ以上の試料を観察されたい場合は事前にご相談下さい。

導電体

試料台に固定すればそのまま観察できます。但し、試料の高さは2mm以下(専用台を使っても3mm以下)でなければなりません。以下、試料の形状ごとに準備方法を示します。

・紛体・微粒子
試料台にカーボンテープを貼り、その上に竹串やつまようじの先端に付着させた紛体を擦り付けます。サイズが大きなものは事前に乳鉢等で磨り潰して下さい。最後に必ずダスターで余分な粉を飛ばして下さい。紛体の量が多いと鏡筒内でそれらが舞い、対物レンズに付着する可能性があります。こういった異物の存在は、ピントの調整不良、分解能の低下など深刻な事態を招くこともあります。

・チップ・厚片
高さ(厚み)が2mm(専用台を使う場合は3mm)以下であることを確認してからカーボンテープで試料台に固定します。しっかりと固定されていることを必ず確認して下さい(年に1人の割合で試料を鏡筒内に落下させてしまう利用者がいます。落下させた場合は現状復帰にかかる費用を全額負担してもらいます。)。EDSを利用される場合は、高さは1mm以下に抑えて下さい。

絶縁体・磁性体・揮発性の高い物質

これらの試料は何らかの前処理が必要です。以下、各試料ごとの対策方法を簡単に示します。

・絶縁体
蒸着が必要です。当センターにはイオンスパッタ―(Pt)、カーボンコーター、オスミウムコーターの3種類の蒸着装置が配備されています。装置の選び方は右の柱の「蒸着装置の選び方」のページを参考にして下さい。

・磁性体
対物レンズから発生した磁場は非常に強力なので、磁性体を鏡筒内に入れると対物レンズに付着してしまいます。従って、磁性体を観察するには、試料サイズを小さくして磁力を弱める等の何らかの対策が必要です。まずは担当者にご相談ください。

・揮発性の高い試料
鏡筒内でガス化する可能性があるため、そのままでは鏡筒内に入れられません。最も単純な対策方法は加熱して揮発性成分を飛ばしてしまうことです。加熱できない場合は脱水、固定といった化学的処理が必要です。